開業届はいつ出すべき? -占い師になるにはその2の補足

UNIVERSAL WAITE TAROT / Stuart R. Kaplan (Author), Pamela Colman Smith (Original Illust), Mary Hanson-Roberts (Illust) ©1992 U.S. Games Systems, Inc.

こんにちは。占い師の浅野輝子です。
この記事は占い師が知っておきたい法律のお話 -占い師になるにはその2の補足記事です。

開業届を出したほうがいいかどうか、どんな影響があるのかは専業、副業、扶養家族かどうか、などでずいぶん違ってくるのですが、とにかく知らなかったら対応できないのでザザーッと自分の知っていることをお話しますね。

私は法律の専門家というわけではないですし、法も変わってゆくものです。
適時確認のほど、重々お願いいたします。

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開業届を出すことにより生じるかもしれない影響

前回お話したとおり、開業届の提出は所得税法第229条に「事業開始から1ヶ月以内」と定められています。
しかし提出が遅れても特に罰則はありません。

私としては開業も廃業も紙ペラ1枚で済みますし、責任を持って事業を行うためには開業と同時に開業届を出したほうが良いんちゃうかな~と考えますが……。
実際は諸般の事情により軌道に乗ってから開業届を出す方が多いようです。

諸般の事情てなんじゃい、て話ですよね。

例えば、会社員が副業のために開業届を出すと、“会社員兼個人事業主”となります。

この人が「あ~うちの会社やっぱ激務だよな。今は良くても年令を重ねたときにやっていけないから転職しよ。休み取れないからまず退職してそれから職探しだな、うん」と、会社を辞めたとしても、個人事業主である以上”失業の状態”に当たらないので、失業保険は受け取れません。

うおお……転職経験のある方にはゾッとする話じゃないですか?これ……。

もちろん、退社する前に廃業の届けを出していれば「失業の状態」になります!
が、その場合、平日に税務署へ出向くか書類を用意して送付せねばならず、若干手間ではありますね。

また、家族の扶養に入っている場合、加入している健康保険団体によっては、「所得にかかわらず個人事業者は扶養対象外」や「個人事業者も扶養対象とするが家賃・光熱費を経費とせず所得が〇〇円以下の場合に限る」などの条件があり、別途単独で国民健康保険に加入する必要が生じます。
(加入保険団体によって条件が違うので問い合わせて確かめましょう!)

このように、実生活に影響があるから軌道に乗るまでは開業届を出さず雑所得として計上しよう、という方が一定数いらっしゃるんですね。

開業届を出すタイミングの目安は『所得20万円』

では、「軌道に乗ってから」とは具体的にどのようなタイミングか?
ひとつの目安は“年間の事業所得が20万円を超える見込みになったとき”です。
確定申告不要の条件のひとつが「雑所得が20万円以下であること」なので、所得がこのラインを超えてきたら開業届を出す目安です。

ちなみに、『売上-経費=所得』です。
経費の領収書は取っておきましょうね~。

ちょっとややこしいのが、「雑所得が20万円以下なら申告不要」なのは所得税に限ったお話でして、住民税には20万円以下の雑所得を反映させねばなりません。
会社での年末調整とは別で「市民税・県民税申告書」という簡易的な書類提出が必要ですから、忘れず市役所へ行ってね!

あっ!いまこれを書きながら「やっばい、メルカリと占いの副業を合わせると20万円超えるかも」みたいな人が最近は居そうだよな~……と思ったのですが、メルカリは中古品を売っているのですから基本的に元本割れしています。
仕入れ値より高く販売して利益を出している(事業として成り立たせている)のでなければ無視して大丈夫です。

開業すれば必ず毎年確定申告が必要になります。
開業届を出していない場合は医療控除や住宅控除など様々な要素で確定申告すべきか否かが左右されます。
勉強のつもりで『雑所得 申請 20万円以下』などのキーワードでググって自分がどれに該当するのか把握しましょう。

諸々検討の上で開業しよう!と決断された方、怖がらなくても大丈夫です。
開業届の提出は特に難しくありません。
税務署に出向いて開業届に必要事項を記入し、提出すれば完了です。
なんと書いていいかわからなかったら税務署の人に聞きましょう。それが一番確実です。

税務署が遠方の場合は国税庁のサイトから『個人事業の開廃業等届出書』を取得記入のうえマイナンバー通知カードのコピーと顔写真入り身分証明書のコピーを添えて郵送すれば開業できます。
【参照】国税庁『個人事業の開廃業等届出書』

ちょっと難しいな、と感じる場合は、経理ソフトでシェアを伸ばしている『会計ソフトfreee』が『開業freee』というサービスをやっていますので利用しても良いかもしれません。
無料で、質問に答えてゆくと開業届が仕上がるらしいです。
まじか。税務署に行かないならこの方が早そう。
【参照】開業freee(無料)

長老みたいな人が出てきて「おめでとう、君はこれから個人事業者だ」と拍手で送り出されるとかも特にないので、開業はマジで簡単。マジで拍子抜けします。
記念すべき日ですから予めお祝いのビールかケーキを調達しておきましょう……。
また、廃業の手続きも同様に簡単にできます。

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開業による扶養への影響

家族の扶養に入っている場合は開業にあたり気がかりが多いかもしれませんね。
まず、家族の扶養に入りながら開業して個人事業主となることは可能です。
逆に言えば未成年の学生さんであっても事業を行うのであれば開業届の提出と確定申告が必要となります。

扶養に入ったまま開業した場合、年間の見込み収入が130万円を超えると社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険)の扶養から外れます。

平成29年度の税制改正で配偶者控除および配偶者特別控除に給与所得者(夫等)の年収制限が設けられました。とはいえ年収一千万を超えてからの話になるので多くの方は影響がないのですが、改正に伴い「源泉控除対象配偶者」というものが新たに設けられています。

これまでは配偶者の収入が103万円以内であれば給与所得者は配偶者控除として38万円の所得控除を受け、所得税が軽減されてきました。
これがいわゆる「103万の壁」ですが、今回、この配偶者の年収要項が103万円から150万円に引き上げられています。

「103万の壁」が「150万の壁」になった、と理解していただいていいのですが、150万の壁は、ちょっぴり柔らかい壁です。
配偶者の年収が150万円を超えると、年収に応じて段階的に控除額が下がり、年収が201万6千円を超えると控除額はゼロ円になります。

まあね、現段階ではふんわりでいいと思うんですよ。
「あっ、占い師としての収入が100万円を超えてきた!なんか、浅野輝子が!なんか、ブログに書いてたぞ!なんやったかな!!」と、ふと思い出してほしい。
そのために私はこの記事を書いています。

関係する段階になったら詳しく調べましょう。
もしかしたら法も変わっているかもしれませんしね。

よく確かめるべくは、先程もお話した健康保険です。
加入している団体によって扶養の条件が異なりますから健康保険団体に直接確かめましょうね。(大切なことなので2回言いました)

以上、開業についての補足でした。

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