タロットの逆位置ってどう意味を解釈すればいいの?‐挫折しない独学タロット講座その4

UNIVERSAL WAITE TAROT/ Stuart R. Kaplan (Author), Pamela Colman Smith (Original Illust), Mary Hanson-Roberts (Illust) ©1992 U.S. Games Systems, Inc.
OSWALD WIRTH TAROT / Oswald Wirth ©1992 U.S. Games Systems, Inc.

あけましておめでとうございます!
占い師の浅野輝子(あさのてるこ)です。

昨年が良い年だった方はさらに飛躍の年に、昨年はイマイチだった方は気持ちをリセットして、新しい日々を重ねてゆきましょうね。

年を跨ぎました挫折しない独学タロット講座。

前回は『複数枚のカードを眺めることでカード一枚一枚の意味の違いを感じ取る』
についてお話しました。

今回は、タロットの逆位置についてお話したいと思います。

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タロットの「逆位置」ってなあに?

タロットカードの絵が正しく出ることを『正位置(Positive position)』、ひっくり返って出ることを『逆位置(Reverse position)』と言います。

タロットは偶発性から占うツール。
カードが逆さまに出たという偶然に意味を見出し、正位置とは少し違ったニュアンスで捉えることがあります。

逆位置の採用の是非について

「結局のところ、逆位置は採用した方がいいの?」とは、タロティスト界隈でもよく議題に上がります。
それぞれ、その時々のやり方で良いとわたしは思います。

熟年のプロの占い師さんでも逆位置を採用しない方はたくさんいます。
「逆位置でも正位置でもそのカードの意味に本質的な違いを感じないから」
「歴を重ねるごと逆位置に違和感を感じるようになったから」という声が多いです。

デッキによっては初めから「逆位置を採用しない」とされているものもあります。
トート・タロットやそれに準じて作られているデッキでは逆位置を採用しません。
タロットではないですが、オラクルカードにも逆位置という概念がありません。

一枚にドンと明確で分かりやすいメッセージが詰まっているデッキで逆位置を採用しようとすると、“すべてのカードが極端に悪い意味になる” “受け取り様がない” といった現象が起こります。
そのようなデッキは製作者が逆位置の採用を想定していない可能性がありますし、無理に解釈しようとしないほうが良いです。

The Answer is Simple Oracle Cards / Sonia Choquette ©2009 Hay House Inc.

こちらは私が実践でよく用いている『the Answer Is Simple』というオラクルカードですが、ご覧の通り背面にガッツリ絵が入っています。
これをワシャワシャとシャッフルして天地バラバラの状態でカードをまとめることになったら……わたしはなんだか背中がソワソワします。
ヒィィ~!!! 全部同じ向きにしたい!!!!

このようなデッキは、おそらく製作者が逆位置の採用を想定していません。

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私が逆位置を採用する理由

わたしは今のところ20年間ずっと逆位置を採用しています。

前述の通り「カードが逆に出る」という偶然にも、きっとなんらかの意味があろうと考えるからです。

また、タロットカードは1セット78枚ですが、逆位置を用いることによって156枚のカードが手元にあるかのように幅が広がるので、無視するのはなんだかもったいないなあ~というのも理由です。

一方で、逆位置を採用しない先生が「逆位置でも正位置でもそのカードの意味に本質的な違いを感じないから」と仰るのもとてもよくわかります。
逆位置でもカードの持っている芯の部分は変わらない。
あくまでも変わってくるのはニュアンス。
それも、正位置で出た場合にも捉えようのある内容なんですよね……。

基本的には逆位置を採用しているわたしですが、例外もたくさんあります。

まず、逆位置を採用しないほうがしっくりくるデッキでは逆位置を採用していません。

また、展開したすべてのカードが逆位置で出た場合は、全部正位置と捉えたほうがしっくりくることが多いので、そのようにしています。
クライエントに「あなたにとても伝えたいと思ってるからカードが全部そっちを向いたんだよ~」と、感じたままに伝えながらリーディングを進めたりしてるなあ。

時折、クライエントのお話を伺っていると「この方のお人柄、話の内容、質問には、逆位置の採用はしっくりこないな!」と感じるケースもあります。
その場合は逆位置で出たカードもすべて正位置に正してリーディングを始めています。

逆位置は採用してもいいし、採用しなくてもいいが、チャレンジしないのはもったいない

……なんだかこの記事、しゃっくりのように「しっくり」を連発している気がします。

そう、結局その人にとって納得感がありしっくり来ているかどうかが全てなんです。

逆位置の採用の是非に正しい正しくないなんてありません。

そもそも「結局逆位置は採用した方がいいの?」という議題はタロットリーダー各々が自分のやり方に納得していれば上がらないはずで、つまり “逆位置の扱いはタロットと付き合ううちに迷いが生じやすいポイントである” と、頭の片隅で理解しておけばよいのではないかと思います。

ただね、もしも逆位置を用いない理由が「なんだか難しいから」「よくわからないから」なら、ちょっともったいないかなあ。
それは「逆位置を採用しない」ではなく、「逆位置を採用できない」ということですよね……。

タロットリーディングは解釈の枠を広げてナンボの世界です。
自分にとって逆位置という概念がしっくりくるかどうか判断するためにも、一度は逆位置の解釈にチャレンジしてほしいなあと、わたしは思います。

(「今のところ78枚で手一杯で、これ以上幅を広げられないので暫定的に正位置のみを用います」というならば誠実だし、それも一つのやり方としてアリだとは思います)

逆位置の解釈の仕方

教科書まる覚えでタロットをマスターしようと思うと正逆合わせて156の意味を暗記せねばならず、逆位置の採用で躓いてしまうことにもなりかねません。
しかし、これまで本ブログで何度も述べてきた「カードの絵の印象を自分なりに解釈し意味を見出す」という基本ができていれば、逆位置の解釈はそんなに難しくありません。

要は、「正位置の絵をよく見た上で、それを逆さまにした時、あなたはどう感じるのか?」ということです。

UNIVERSAL WAITE TAROT/ Stuart R. Kaplan (Author), Pamela Colman Smith (Original Illust), Mary Hanson-Roberts (Illust) ©1992 U.S. Games Systems, Inc.

おっ、もはや懐かしいですね。
もしも、この愚者のカードが逆位置で出たとしたらあなたはどう感じるでしょうか。

わたしの解釈は、

「崖!危ない! 上見てないで前見て!」「自由がすぎる」「夢見がちで現実が伴っていない」「地に足をつける必要がある」「他者の忠告に目を向けよう」「目的の地はまだまだ遠い」「ずっと明るい気分ではいられない」「あなたは本来明るい人のはずだよ」「縮こまる必要はない」
正位置でも感じとれる要素の中で、特定のものがさらに強まる感じです。

いまあげた印象を一つ一つ見てゆくと、「明るい気分ではいられない」「本来明るい人のはず」などのように全く相反しているものもあり、一貫性がないようにも見えますね。

どちらの意味がその占いの場面で相応しいかは、相談者の質問内容や、相談者から感じ取れるキャラクター、複数枚のカードを引いているのなら他のカードはなにを指し示しているかなどに大きく左右されます。

判断する要素がなにもないのであれば

「このカードは“ずっと明るい気分ではいられない”“あなたは本来明るい人のはず”という両極端な意味をはらんでいます。今の状態では情報不足でどちらが当てはまるとも言い難いのですが、少なくともあなたはいま手放しで夢を見て心を自由にすることはできていないのではないでしょうか(なぜなら愚者が逆位置で出ているのだから)」

と、二つのとり方があり判断がつかないことも含めてありのまま伝えるのが誠実さであろうと思います。

……うーん、でも、大概は「あっ、今この人にこれを伝えたくてこのカードは出たんだろうな!」となにかピンとくるものがあることが多いかなあ。

てるこ
いまあなたがワクワクして計画してる内容は大切な部分に見落としがあると愚者逆位置が忠告しています。
この穴を埋めれば、とてもうまくいくはずなんです。
あなたはこの計画について、今回は他者の意見に耳を傾けると勢いが削がれるような気がしたり、迷いが生じるのではないかという気持ちがあって、あえてクローズドにした部分があるのではないでしょうか?
その方針は決して間違いではありませんが、問題なのは0か100かの極端な二択になってしまっていることです。
ほんの少し開いて、10だけ耳を傾けてみませんか。
周りの意見はなにも惑わせるものばかりではありません。
あなたの今後により一層広がりを持たせてくれる素敵なアイディアを持っている人がすぐ身近にいます。
みたいな。(原稿用紙約1枚でした)

……このへんはうまく言語化して伝えるのが難しいなあ。
勘といえば勘だし、感性のアンテナがキャッチした微細な情報の集合とでも言おうか、これまでの経験から導き出されているのかもしれない。

ですが、だいたい整理すると逆位置というのは

  • その絵に示されている光の要素が強すぎる「他が見えていないよ!」
  • 光の要素が弱すぎる「弱気になってないでもっと来いよォ!」
  • その絵に示されている闇の要素が強調されている「方向性が間違ってるよ!」
  • そのカードと次番号のカードの間の状態「そのカードの状態はもう経過したはずだから抜け出そうよ!」

以上のどれか、もしくは複合系に当てはまります。
先程のわたしの愚者逆位置の解釈を当てはめると

・その絵に示されている光の要素が強すぎる(他が見えていないよ!)
「自由がすぎる」「夢見がちで現実が伴っていない」

・光の要素が弱すぎる(弱気になってないでもっと来いよ!)
「あなたは本来明るい人のはずだよ」「縮こまる必要はない」

・その絵に示されている影の要素が強調されている(方向性が間違ってるよ!)
「崖!危ない! 上見てないで前見て!」「目的の地はまだまだ遠い」「他者の忠告に目を向けよう」

・そのカードと次番号のカードの間の状態「そのカードの状態はもう経過したはずだから抜け出そうよ!」
「ずっと明るい気分ではいられない」「地に足をつける必要がある」

と分析することができます。

書いていて思ったのですが、最後の
・そのカードと次番号のカードの間の状態「そのカードの状態はもう経過したはずだから抜け出そうよ!」
という考え方は、もしかしたら少数派かもしれません。(あんまりきかんな、と)

わたしは逆位置を次番号のカードの間の状態と捉えることがあります。
『愚者逆位置』は、『愚者正位置』と『魔術師正位置』の間の状態、といった感じ。

特に小アルカナにおいては、各スートごとに1から10までのカードでひと繋がりの物語のようにもなっていますので、想像しやすいかと思います。

例えばワンド(棒)2は、地球儀を持った人が今後に向けて計画を練っている絵(もしくは世界を俯瞰している)です。
次番号のワンド(棒)3は、遠い海ゆく先人たちの船に視線を移し旅立ちの瞬間が描かれています。

なので、ワンド(棒)2が逆位置で出た場合は
「未知数の旅立ちを思うと少し心細いような気がして、ずっとこの段階に踏みとどまっていたいと思ってしまっているのかもしれませんね。でも大丈夫。“もうあなたは計画を十分に練った。次の段階へゆこう”と、ワンド2のカードが逆位置で出ることで語りかけています」
といったふうにお伝えすることがあります。

もし「なるほど」と思ったら、やってみてくださいね。

なお、「逆位置なのだから、正位置の意味を真逆にして捉えよう!」という考え方もありです。

正位置は光の要素、逆位置は影の要素、と完全に分けた方がしっくりくる方に適しているかもしれません。

わたしの場合はどのカードも正位置の状態ですでに光の要素と影の要素の二面性があると感じており意味を反転させる必要がないためこの考え方は個人的に採用していません。

いずれにせよ大切なのは、自分の感性を重んじること。

「よくわかんないけどとにかく逆位置もやってみよう!」
「いまは正位置のみのほうが楽しくできそうだから見送るけど、後々やってみよう!」

どちらもとっても素敵です。
自分のペースで、タロットと仲良くなりましょうね。

さて、次回は『タロットのシャッフルとカットの仕方』について動画付きで解説予定です。
あのワシャワシャ~っとカードを混ぜてシュッとまとめるやつです。
ぜひ引き続きお付き合いくださいませ。浅野輝子でした。

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